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書物の聖母サムネイル

聖母子像の傑作 《聖母子(書物の聖母)》

幼子イエスを膝に抱く聖母が、優雅で安定した構図におさめられている。幼子は首を大きくひねり、愛らしい表情で聖母を仰ぎ見ている。聖母子の光輪や髪、聖母の衣服に施された刺繍、開いた書物などに、きわめて緻密な描写がみてとれる。作品の依頼主や設置場所は明らかでないが、金箔やラピスラズリなど、高価な素材が多用されていることから、重要な注文による制作であったことがうかがえる。代表作《ヴィーナスの誕生》と同じ1480年代前半に位置づけられる、ボッティチェリ円熟期の技量が光る傑作である。
1482-83年頃 テンペラ、板 ミラノ、ポルディ・ペッツォーリ美術館蔵
© Milano, Museo Poldi Pezzoli, Foto Malcangi

ラーマ家の東方三博士の礼拝 サムネイル

メディチ家とボッティチェリ 《ラーマ家の東方三博士の礼拝》

ユダヤの王をさがして東方からやって来た三博士(マギ)たちは、黄金、乳香、没薬を携え、イエスの誕生を祝福した。ボッティチェリは生涯にわたりこの主題の絵画をいくつか手掛けたが、本作品はもっとも名高いものである。奥に向かって傾斜する地面に多数の人物が巧みに配され、ピラミッド型の構図の一番高いところに位置する聖母子に、見る者の視線は誘導される。
この作品は、両替商組合の仲買人であったガスパーレ・ディ・ザノービ・デル・ラーマという人物からの注文で制作され、もともとはフィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ聖堂に置かれていた。さまざまな顔の角度で描かれた群衆の何人かは、メディチ家の人々の肖像であるとされる。注文主ラーマは、メディチ家に寵愛された画家ボッティチェリに制作を依頼し、画中に時の権力者の肖像を描き込ませることで、彼自身のステイタスを示そうとしたのである。
1475-76年頃 テンペラ、板 フィレンツェ、ウフィツィ美術館蔵
Gabinetto Fotografico del Polo Museale Regionale della Toscana. Su concessione del MiBACT. Divieto di ulteriori riproduzioni o duplicazioni con qualsiasi mezzo

書物の聖母

憂いを帯びた表情

聖母はうつむき、伏し目がちにイエスを見つめている。物思いにふけるような、憂いを帯びた表情は、わが子に運命づけられた受難を予知してのことであろう。頭部から膝にまで垂れる薄いヴェールの描写や、聖母の華奢で美しい顔立ちは、師のフィリッポ・リッピから引き継いだ表現である。

幼子の愛らしさ

幼子イエスは懸命に振り返り、聖母をしっかりと仰ぎ見ている。動きのある身振りと視線によって、見る者に安らぎを与えるような母子の親密さが表わされている。綿密に練られたイエスの顔の比率、額や頬の丸み、無邪気な口元の表現によっても、幼児らしさが強調されている。

繊細な描写、装飾性

聖母の左肩には、ビザンティン美術に由来し、聖母を象徴する「海の星」と光線が、金箔を用いて表わされている。濃紺のマントに透明なヴェールの結び目が重なり、繊細な線描と高価な素材の輝きが際立ってみえる。描写の細やかさと、植物や幾何学文様を用いた装飾性は、ボッティチェリ作品の魅力のひとつである。

受難具

イエスは左手に三本の小さな釘を持ち、腕には茨の冠を通している。これらは、イエスが磔刑に処せられるまでの受難の途上で用いられた道具であり、幼子の運命を暗示する。金箔が施されたこれらの受難具は、見る者の信仰心を高め、かつ画面に装飾性をもたらす要素となっている。

静物にも注目

豪華なクッションの上に置かれた書物は時禱書で、開かれたページには「イザヤ書」からの文句が記されている。奥のマヨリカ陶器の鉢には、サクランボ、プラム、イチジクなどが盛られ、それぞれキリスト教的な概念を暗示している。

ラーマ家の東方三博士の礼拝

老年の博士

聖母子の前に跪く老年の博士は、15世紀前半にメディチ家の全盛時代を築いたコジモ・デ・メディチ(イル・ヴェッキオ)とされる。

ロレンツォか、ジュリアーノか

剣を持ち、勇ましく胸を張る男性は、ピエロ・デ・メディチの長男ロレンツォ・イル・マニフィコか、次男のジュリアーノの肖像とされる。

注文主ラーマ

画面の右側で自らを指さしている青い衣服の男性は、注文主であるラーマの肖像とされる。

壮年、青年の博士たち

赤いガウンの博士はコジモの長男ピエロ・デ・メディチ、その横の白衣の博士は次男ジョヴァンニ・デ・メディチとされる。

黒衣の男性

思慮深くうつむく黒髪の男性は、ピエロ・デ・メディチの長男ロレンツォ・イル・マニフィコか、次男のジュリアーノの肖像とされる。

画家の自画像

ただ一人こちらに目を向ける男性は、ボッティチェリ自身とされる。 颯爽たるポーズと自信に満ちた表情に、画家の心意気があらわれている。

書物の聖母

聖母子像の傑作 《聖母子(書物の聖母)》

幼子イエスを膝に抱く聖母が、優雅で安定した構図におさめられている。幼子は首を大きくひねり、愛らしい表情で聖母を仰ぎ見ている。聖母子の光輪や髪、聖母の衣服に施された刺繍、開いた書物などに、きわめて緻密な描写がみてとれる。作品の依頼主や設置場所は明らかでないが、金箔やラピスラズリなど、高価な素材が多用されていることから、重要な注文による制作であったことがうかがえる。代表作《ヴィーナスの誕生》と同じ1480年代前半に位置づけられる、ボッティチェリ円熟期の技量が光る傑作である。
1482-83年頃 テンペラ、板 ミラノ、ポルディ・ペッツォーリ美術館蔵
© Milano, Museo Poldi Pezzoli, Foto Malcangi

憂いを帯びた表情

憂いを帯びた表情

聖母はうつむき、伏し目がちにイエスを見つめている。物思いにふけるような、憂いを帯びた表情は、わが子に運命づけられた受難を予知してのことであろう。頭部から膝にまで垂れる薄いヴェールの描写や、聖母の華奢で美しい顔立ちは、師のフィリッポ・リッピから引き継いだ表現である。

幼子の愛らしさ

幼子の愛らしさ

幼子イエスは懸命に振り返り、聖母をしっかりと仰ぎ見ている。動きのある身振りと視線によって、見る者に安らぎを与えるような母子の親密さが表わされている。綿密に練られたイエスの顔の比率、額や頬の丸み、無邪気な口元の表現によっても、幼児らしさが強調されている。

繊細な描写、装飾性

繊細な描写、装飾性

聖母の左肩には、ビザンティン美術に由来し、聖母を象徴する「海の星」と光線が、金箔を用いて表わされている。濃紺のマントに透明なヴェールの結び目が重なり、繊細な線描と高価な素材の輝きが際立ってみえる。描写の細やかさと、植物や幾何学文様を用いた装飾性は、ボッティチェリ作品の魅力のひとつである。

受難具

受難具

イエスは左手に三本の小さな釘を持ち、腕には茨の冠を通している。これらは、イエスが磔刑に処せられるまでの受難の途上で用いられた道具であり、幼子の運命を暗示する。金箔が施されたこれらの受難具は、見る者の信仰心を高め、かつ画面に装飾性をもたらす要素となっている。

静物にも注目

静物にも注目

豪華なクッションの上に置かれた書物は時禱書で、開かれたページには「イザヤ書」からの文句が記されている。奥のマヨリカ陶器の鉢には、サクランボ、プラム、イチジクなどが盛られ、それぞれキリスト教的な概念を暗示している。

ラーマ家の東方三博士の礼拝

メディチ家とボッティチェリ 《ラーマ家の東方三博士の礼拝》

ユダヤの王をさがして東方からやって来た三博士(マギ)たちは、黄金、乳香、没薬を携え、イエスの誕生を祝福した。ボッティチェリは生涯にわたりこの主題の絵画をいくつか手掛けたが、本作品はもっとも名高いものである。奥に向かって傾斜する地面に多数の人物が巧みに配され、ピラミッド型の構図の一番高いところに位置する聖母子に、見る者の視線は誘導される。
この作品は、両替商組合の仲買人であったガスパーレ・ディ・ザノービ・デル・ラーマという人物からの注文で制作され、もともとはフィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ聖堂に置かれていた。さまざまな顔の角度で描かれた群衆の何人かは、メディチ家の人々の肖像であるとされる。注文主ラーマは、メディチ家に寵愛された画家ボッティチェリに制作を依頼し、画中に時の権力者の肖像を描き込ませることで、彼自身のステイタスを示そうとしたのである。
1475-76年頃 テンペラ、板 フィレンツェ、ウフィツィ美術館蔵
Gabinetto Fotografico del Polo Museale Regionale della Toscana. Su concessione del MiBACT. Divieto di ulteriori riproduzioni o duplicazioni con qualsiasi mezzo

老年の博士

老年の博士

聖母子の前に跪く老年の博士は、15世紀前半にメディチ家の全盛時代を築いたコジモ・デ・メディチ(イル・ヴェッキオ)とされる。

ロレンツォか、ジュリアーノか

ロレンツォか、ジュリアーノか

剣を持ち、勇ましく胸を張る男性は、ピエロ・デ・メディチの長男ロレンツォ・イル・マニフィコか、次男のジュリアーノの肖像とされる。

注文主ラーマ

注文主ラーマ

画面の右側で自らを指さしている青い衣服の男性は、注文主であるラーマの肖像とされる。

壮年、青年の博士たち

壮年、青年の博士たち

赤いガウンの博士はコジモの長男ピエロ・デ・メディチ、その横の白衣の博士は次男ジョヴァンニ・デ・メディチとされる。

黒衣の男性

黒衣の男性

思慮深くうつむく黒髪の男性は、ピエロ・デ・メディチの長男ロレンツォ・イル・マニフィコか、次男のジュリアーノの肖像とされる。

画家の自画像

画家の自画像

ただ一人こちらに目を向ける男性は、ボッティチェリ自身とされる。 颯爽たるポーズと自信に満ちた表情に、画家の心意気があらわれている。